アプリのGoogleAnalyticsを使ってできそうだけど実はできないこと
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アプリのGoogleAnalyticsを使ってできそうだけど実はできないこと

【おことわり】
ここで紹介しているアプリ向けのGoogleAnalyticsはすでに終了しています。できそうだけどできないどころか、GoogleAnalytics自体が使えなくなってしまいました。お役に立てずごめんなさい。


 

弊社のEAPでも標準で実装しているモバイルアプリ向けGoogleAnalytics。無料とは思えないくらい充実した機能を持っていますが、ウェブサイト向けのGoogleAnalyticsに慣れている人からすると「えっ? それできないの?」と思うことがいくつかあります。またアプリ側では計測しようがないデータも「なんで取れないの?」と言われることがままあります。

その中でもよく耳にする内容を、GAIQもウェブ解析士の資格も持ってない、モグリのGoogleAnalytics使いの僕が解説してみたいと思います。詳しい方、もし内容に違っている点など見つけられたら、教えていただけると助かります。

 

ダウンロード数の計測

これ、ものすごくよく聞かれますがGoogleAnalyticsでは計測できません。

そもそもアプリのダウンロードはアプリストアで行われていて、それは端末にアプリがインストールされる前の話なので、アプリ内部にいくらGoogleAnalyticsを実装しても計測しようがないです。

実際のところダウンロード数はストアのほうで集計されていて、iOSの場合はストアの利用状況をApp Store Connect(iTunesConnect)のApp Analyticsで見ることができるので、必要であればそちらを見ていただくことになります。

ちなみにApp Analyticsの場合、ダウンロード数(ユニット数) とインストール数は別物で、インストール数は再ダウンロードもカウントしているので要注意です。

ただ、ダウンロード数を知りたい ≒ 新規のユーザー数を知りたいということだと思うので、GoogleAnalyticsの新規のユーザー数を見ればだいたい近い値が取れますし、世の中にはダウンロードしたアプリを1度も起動しないという人もいるので、そういったノイズを取り除けるという意味でも個人的にはGoogleAnalyticsの新規ユーザー数を見た方がいいんじゃないかなという気がしています。アプリのダウンロード数に応じて月額料金が上がるようなサービスを使っているときに、それが実態と合っているのか調べるのにも役立ちます(と、少し毒を吐いてみる)。

 

 

どこ経由でダウンロード(インストール)されたか

これも非常によく聞かれますが、GoogleAnalyticsだけで計測するのは無理です。

ダウンロード数の計測同様、基本的にこの情報は「アプリストアにどこ経由で来たか」という話なので、App Store ConnectやGoogle Play Consoleで計測される情報を利用することになります。またAdjustAppsFlyerといった広告系の機能が充実したアプリ用の計測プラットフォームを使えば計測できますし、より柔軟な運用が可能になります。

ただAndroidのストアであるGoogle Playについては、ストアに遷移するときに適切にパラメータ(キャンペーン情報)をつけていれば、GoogleAnalytics上でも見ることができます(詳細はこちら)。しかしβ版となっているiOSのインストール計測に関しては広告経由でのインストール以外はトラッキングができません

このインストールトラッキングの情報は広告の効果測定には有効ですが、どうせ計測するなら単にインストール数だけでなく、インストール後にちゃんと利用されているのはどこ経由でインストールされたものなのかまでわかったほうがより有用です。弊社では実際にAppsFlyerで取得したインストール元の情報をGoogleAnalyticsのカスタムディメンションにセットし、そういった計測を可能にしたカスタム実装の実績もありますのでお気軽にご相談ください

 

 

アンインストール数

いわゆる離脱率のようなものを計測したいというニーズも結構多くて、この数値が取れるかどうかよく聞かれます。でも、これもわかりません。アンインストールされたことをGoogleAnalyticsに送信しようにも、アンインストールはOSがやっていることですし、アプリはアンインストールされて消えちゃってるわけですからアプリからは送りようがないわけです。ちなみにAdjustAppsFlyerを使えば計測できるらしいです。

ただ、これも個人的な意見ですが、アンインストール数や離脱率を測るよりはユーザーのアクティブ状況を把握する方法を考えて、どうせならアンインストールされる前に兆候をとらえて手を打つようにしたほうがいいんじゃないかなと思います。アンインストールは結果なので、この数値や比率を見たところで結局何もわからないですし。

 

 

ページ遷移(前後の遷移把握)

WebのGoogleAnalyticsに慣れている人が一番面食らうのがこれじゃないかと思います。

Webページの計測では当たり前に使えている前後のページ遷移がアプリのGoogleAnalyticsではわかりません。行動フロー(「行動」→「行動フロー」)を見れば大まかな流れを見ることはできますが、特定の画面(スクリーン)を指定してその前後画面を知るなど、詳細に知ることはできません。

GoogleAnalytics以外のソリューションでは普通に計測できたりもするので、どうしても必要であれば別の仕組みで計測することを検討する必要がでてきます。僕自身が分析を行う際にも欲しいデータであることは間違いないんですが、実は弊社のEAPにビッグデータ分析も視野に入れたアプリのログ集計の仕組みの準備を進めていて、これの準備が整えば任意のスクリーンの前後画面について計測・分析は可能になる予定です。

 

 

ページタイトルの表示

Web用のGoogleAnalyticsはHTMLのタイトルタグに入っている情報を自動で取得しているのでページタイトルを見ることもできるんですが、アプリの画面にはそういった値は定義されないのでアプリのGoogleAnalyticsにも「タイトル」という概念がありません。そのためGoogleAnalyticsの計測設計時にスクリーンネームの付け方をよく考えておかないと、あとから見ても何が表示されている画面かわからないという問題がしばしば起きます。

ちなみにスクリーンネームに日本語を含むこと自体は問題なくて、また何が表示されているか知りたい状況というのはコンテンツ詳細画面のようにコンテンツ毎に中身が異なる画面に基本的には限られると思うので、こういった画面のスクリーンネームにコンテンツIDと一緒にコンテンツタイトルなどの情報も入れておくとGoogleAnalyticsを見るときに使いやすくなります。このあたりはGoogleAnalyticsを使う側の視点も持って設計できるかどうかがカギになり、ノウハウが必要なところです。もちろん弊社はこのへん強い方じゃないかと思います。篠キチが細かいところまで口うるさいので。

 

 

Push通知の開封数・開封率

Push通知自体はアプリが起動する前段階でOS側が受信や表示を制御しているので、これもアプリのGoogleAnalyticsを普通に実装しただけでは計測できない数値になります。また、開封率を出すにはPush通知を送った総数を把握する必要があり、これもGoogleAnalytics側には入ってこない情報なので計測できません。

Firebaseを利用してPush通知を送信している場合はFirebaseのコンソールで確認はできるのですが、これはFirebaseのコンソールからPush通知の送信を行った場合に限られていたんじゃないかと思います(ちょっとこれについては正確な情報は把握できていないのですいません)。EAPではPush通知の配信登録はEAPが用意する管理画面で行うのが基本になっているので、こういった数値を見る場合は管理画面上で把握できるように開発しています。

ただ、以前ブログにも書いたようにPush通知の開封数や開封率だけを追っかけても改善には直結しないと思うので、Push通知がアプリの利用にちゃんと貢献しているか分析可能にするほうが大切だと思います。

 

 

Webviewで表示しているページの計測

意外と見落としがちなのがこれ。Webviewというのはアプリ内でWebページを表示するために用意するWebブラウザの枠のようなもの(詳しくはこちら)ですが、実はWebview内で表示が切り替わるWebページの計測を「アプリ側」のGoogleAnalyticsで行うのは非常に難しいです。

ほとんどの場合、Webview内のコンテンツ計測はWeb側のGoogleAnalyticsまかせにしていると思います。これはWebページ自体がアプリ専用のコンテンツではないことが多く、アプリのためだけの計測をわざわざ追加で入れたりしないからです。ただ、この方法だとアプリ内の遷移とWebページの遷移が別々のセッションになってしまい分析が非常にしにくくなります(WebページをアプリのWebviewで開いているかどうかはGoogleAnalyticsの「ブラウザ」の情報でだいたいわかります)。

例えばアプリからWebviewを介してECで購買があった場合でも、GoogleAnalyticsで非常に便利な購買に関するレポートがアプリの遷移と繋がらないため、Push通知がどの程度売上に貢献したかといった非常に気になる情報の分析ですら見ることは困難です。

これらを関連付けて分析するには、GoogleAnalyticsの場合はUser-ID機能を利用したりします。これをアプリとWebの計測で関連付けてやるのはコツも必要で結構大変なんですが(ランチェスターでは実装実績あります)、先日Googleから発表された自動クロスデバイストラッキングの仕組みがもしかしたらその手間を大幅に減らしてくれるんじゃないかと期待しています。

ただ、関連付け自体はできてもGoogleAnalyticsのアプリ計測とWeb計測は、例え同じトラッキングIDで計測したとしてもビューを分けないと数値をまともに見られないので、このあたりの改善がなんとかされないものかと個人的に期待してるところです。

 

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篠キチ
Planner 篠キチ shinokichi

約3年半にわたり君臨したランチェスター最年長の座を譲り、今はただの猫・鉄道・Perfume好きな不惑おじさん。好きなスタバオーダーはクワットロベンティノーホイップソイホワイトモカ。