ECzine Dayレポート|patagoniaが目指すこれからのブランド体験とは?
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ECzine Dayレポート|patagoniaが目指すこれからのブランド体験とは?

2019年7月17日、浅草橋ヒューリックホールにて「Shift to OMO ~ECがリテールビジネスを変革する~」(主催・株式会社翔泳社)と題したイベントが開かれました。本レポートでは、弊社代表の田代 健太郎とパタゴニア日本支社 Eコマースディレクターの平田 健夫氏(以下、敬称略)によるトークセッション「patagoniaが目指すこれからのブランド体験とは?」をお届けします。

■スピーカー

株式会社ランチェスター 代表取締役
田代 健太郎


パタゴニア日本支社 Eコマースディレクター
平田 健夫氏
「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」
ミッションに紐づいたパタゴニアのビジネス

田代: 本日は「patagoniaが目指すこれからのブランド体験とは?」をテーマにお話しします。ご存じの方も多いと思いますが、パタゴニアは「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」をミッションに掲げるアパレル企業です。はじめに平田さんの自己紹介からお願いできますか? 

平田: みなさん、こんにちは。パタゴニアでEコマースの責任者とリペア(修理)部門のディレクターを務めています平田と申します。中途入社して今年5年目。入社以来、オムニチャネル戦略を担当しています。プライベートではアウトドアスポーツが好きで、週末はサーフィンやスキーを楽しんでいます。

企業紹介も続けてさせてください。パタゴニアはアウトドア用品の会社です。最近は食品事業も手掛けており、ビールの販売もしています。ここ数年、環境再生型農法という、気候変動の原因である炭素を地中に閉じ込める農法を用いた食品事業に取り組んでいます。

先ほどもご紹介がありましたが、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というミッションのもと事業を展開しています。ビジネスはミッション実現の手段であり、ウェアや食品の提供を通じて世の中を動かす存在でありたいと思っています。

田代: ありがとうございます。パタゴニアさんの大きな取り組みのなかの一部ではあると思いますが、ランチェスターはアプリ開発やマーケティング支援でご一緒させていただいています。簡単にランチェスターについてもご紹介します。ランチェスターは創業2007年で、2010年にスマートフォンのアプリ開発を開始。ANAのアプリ立ち上げ参画や昭文社の「ことりっぷ」などを手掛け、企業アプリの開発に知見を持ちます。2年前、その開発の知見を活かして「EAP」というモバイルアプリプラットフォームをリリースしました。その「EAP」の第一号のクライアントさんがパタゴニアさんです。

早速、本題に入りたいと思いますが「パタゴニア体験」についてどのようなお考えで進めていらっしゃるのか教えていただけますか?

顧客中心にオンラインとオフラインをシームレスにつながる

平田: 「パタゴニア体験」は特定の接点のことでなく、顧客とのつながり全体を指しています。我々は、実店舗、EC、取扱店、アプリ、イベントやコールセンターなど顧客と様々な接点を持っていますが、それぞれの接点でどういった体験を提供できるのか、また、どうすればブランドと顧客の絆を深められるのかを大事にしています。ブランドと顧客の絆を深め価値観の共有ができれば、先ほどお話したような、地球の未来のことを共に考えられるからです。

そして、3年前から「パタゴニアアカウント」というコンセプトで、実店舗とECでアカウントを分けるのでなく、全チャネル共通したシングルアカウントで顧客とつながる取り組みをはじめました。顧客をひとりひとり認識し、チャネルをまたいでコミュニケーションできるようシステムを段階的に整備し、運用を進めているところです。

田代: 「パタゴニアアカウント」の考え方やシステム導入計画は、お声かけいただいた時にはすでに形があり、コンセプトから施策設計まで上手くまとまっていると感じました。コンセプトやサービスの連携を推進するため、どのように社内をまとめてきたのか、お聞かせいただけますか?

平田: 「パタゴニアアカウント」やアプリのプロジェクトでは、部門を越えて目的を明確にすることを大事にしてきました。こうした取り組みの際は、どうしても機能やサービスなど戦術的なアクションを議論しがちになりますが、プロジェクトの目的はなんなのかを約1年かけて、色々な部署を巻き込み、話し合っていきました。

田代: 私自身の実体験として、目的が社内で共有されている企業さんはアプリ開発もスムーズで、その後も色々な戦略戦術が進んでいくという印象があります。アプリのコンセプトや導入目的などもお話いただけますか?

「もっと、ずっと、パタゴニア」
社内キャッチコピーでプロジェクト推進

平田: 1年かけたプロジェクトの議論から出てきたのが、「もっと、ずっと、パタゴニア」というコンセプトでした。パタゴニアと顧客が相互に理解し合い、深く長く付き合っていきたいという思いをキャッチコピーにして、社内でのコンセンサスをとってきました。ランチェスターさんにも、そうした議論に加わっていただき、技術的な側面や活動の軸を形にしていただきました。

田代: 実際に、コンセプトから色々なディスカッションをしましたね。アプリの機能以前に、それぞれの部門の方々が、顧客とどのようなコミュニケーションをとるのかを、上手に設計されていると感じたのですが、ポイントはありますか?

平田: チャネル間での意思統一を丁寧に行いました。パタゴニアは22店舗(2019年7月現在)ありますが、お店から本社に集まってもらうのではなく、プロジェクトを進めている私たちEコマースメンバーが全店舗を訪ね、1時間から2時間のセッションをして、店舗スタッフの理解を得るようにしました。

田代: 店舗でのコミュニケーションもそうですが、アプリ内にチャット機能があってチャットの担当者の方も非常にパタゴニアらしさを感じます。アプリのコンセプトがありコミュニケーションの設計をされ、さらに機能面で配慮された部分があればお聞かせいただけますか?

平田: 機能に関しては、顧客情報の統合と、他社さんもやられていると思いますが在庫状況の連携、この2つを顧客視点で実行しました。

田代さんからチャットの話もありましたが、アプリのチャット経由での在庫問い合わせに対して、チャット担当のコールセンタースタッフと店舗のスタッフが協力してお客様に対応し、その一連の体験が素晴らしいものだったと感謝の声をいたただいた事例もありました。

田代: デジタルの話になるとどうしてもシステムやハード面の話が多くシステム統合だけでも難しいなか、色々なチャネルの方が協力してサービスを提供しているのですね。アプリの導入で、顧客をより理解できるようになったという話も以前されていたと思いますが、そのあたりはいかがですか?

顧客理解が深まりコミュニケーションの質も向上

平田: アプリ導入前は、店頭では顧客の情報を知る術がありませんでしたが、導入後はアプリの会員証で識別できるようになりました。現在、店頭で商品を購入いただく約3割の方にパタゴニアアプリの会員証を提示いただけるようになっています。

また、社内に顧客分析チームがあり、アプリから実施するアンケートの調査結果やチャネルをまたいだ様々なデータを総合的に分析しています。アプリによって戦略的にCRMを進められる土台ができてきましたし、購入後のアンケート結果が、接客の質を高めることにもつながっています。

田代: 2017年8月のリリースから一通り機能は揃っていましたが、アプリのアップデートの状況については、いかがでしょうか?

平田: 2018年7月に直営店でアプリの会員証を提示することで修理サービスをスムーズに申し込みができるようになりました。細かい点だと検索条件の絞り込み機能も強化しています。

今年1月からは、実店舗、ECに加え、正規取扱店の在庫をアプリで確認できるよう、連携を進めています。4月には、セールスフォースのマーケティングクラウドと連携し、個別だった配信のプラットフォームを一元化しました。この情報の統合により、商品購入後の適切なタイミングでメンテンナンス情報をお知らせできたり、店頭で伝えきれなかった商品の背景やストーリーをアプリで届けられるようになってきました。

環境問題の課題解決やアウトドアコミュニティの活性化
店舗と地域コミュニティをアプリでつなげ!

田代: 顧客識別ができる状態になると、どのタイミングでコミュニケーションをとるのかが非常に重要なポイントですよね。これまではどちらかというと買ってもらうためのコミュニケーションに注力しがちでしたが、ブランド体験全体を考えると商品購入後の方が圧倒的にブランドに触れる時間は長くなります。そのなかでどういったコミュニケーションをとっていけるのかがポイントですね。今後の展開についても、教えていただけますか?

平田: パタゴニアと顧客の絆を深めることを中心に「もっと、ずっと、パタゴニア」というコンセプトに変わりはありません。そのなかで戦略的に強化したいことが、2つあります。

まず、店舗と地域コミュニティをつなげることです。店舗はブランドの文化や価値観を伝えてくれる大切な場所です。店舗とその地域で活動する環境団体と顧客をつなげること、さらに、パタゴニアは環境フィールドで活躍する全国約4000名の方とネットワークがありますので、その方々と店舗と顧客をつなげ、環境問題の解決やアウトドアコミュニティの活性化に貢献したいと考えています。

ふたつ目は、購入以外のつながり強化です。パタゴニアでは「Worn Wear」というプロジェクトを展開し、リユースや修理を推奨しています。もちろん私たちの商品を購入いただけるのは嬉しいのですが、購入後に修理して丁寧に長く使っていただくことにも力を入れています。この「Worn Wear」のコンセプトをアプリでどう表現するのか考えていきたいと考えています。

田代: 最後に、パタゴニアさんがされている投票キャンペーンについてご紹介いただけますでしょうか?

平田: 参議院議員選挙の投票日にあわせ、大切な人と語り合い、投票に行くパタゴニア従業員のために全店舗休業するキャンペーンを実施します。特定の政党を応援しているのではなく、選挙に足を運び、多様な声をしっかりと届けて伝えていくことこそ民主主義の在り方だという考えのもと、取り組んでいます。


※キャンペンステッカー。表のシール「Vote our planet(投票しよう!)」を剥がすと「I voted our planet(投票しました!)」というメッセージに変わる

田代: 選挙は重要な権利のひとつだと思いますし、我々も参加していければと思います。最後に、少しだけランチェスターのご紹介をさせてください。我々は、アプリ開発を行っている会社です。顧客との絆、エンゲージメントを強化するためのツールとして使っていただいています。

アプリの開発手法は色々ありますが、実は皆さんに意外と知られていません。開発手法のひとつ目がスクラッチといって、ゼロベースでシステムを構築する方法です。もうひとつが既存システムを活用するパッケージ開発です。どちらも、当然、メリットデメリットがあります。パッケージ開発は低コストで開発期間が短くて済みますが、外部システムとの連携が難しいです。一方、スクラッチ開発の場合は、詳細な仕様設計ができますがコスト負担が大きく、開発期間も長期化することが少なくありません。

ランチェスターが提供するモバイルアプリプラットフォーム「EAP」は、スクラッチ開発とパッケージ開発のいいとこどりで、低コストで素早い立ち上げが可能です。特に、システム連携部分に強く、既存のシステムと連携ができますので、アプリをハブとして機能させることができます。

平田さんのお話のように、オンライン、オフラインをうまく融合してよりよいサービスの提供をしていきたいという企業がございましたら、お気軽にお声かけください。本日は、長い時間ありがとうございました。

【了】

関連リンク
EAPサイト
パタゴニアのアプリができるまで【パタゴニア×ランチェスター座談会】

 

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広報/PR 平山
広報/PR 平山 hirayama

広報/PR担当として「EAP」やイベントリポート、会社のお知らせなどランチェスターにまつわることを、日々、情報発信していきます。